昨年ネパール旅行から帰ってきた直後に発表され、あまりの理想型に「これがわいの欲しかったポメラやー!」と買う気満々だったキングジムのポメラDM100。でもとりあえずどこかでレビュー記事を書くついでに実機を触ってから検討しても遅くはあるまい、とサンプルをお借りしたところ、「返却は不要です」とのこと。
最初意味がわからなかったんですが、なんと!製品をいただいてしまいました。まあ、あの、その世間では最近ステマステマとうるさいので、「もらいもん」てことをあらかじめことわっておきますね。
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とりあえず第一印象ですが、思った以上にデカいです。一昨年にトルコ・ギリシャ旅行へ持って行った藤井さんのソニーVAIO typePとほぼ同じサイズですが、あれよりやや大きいくらい。でも当然ながらtypePよりは(最薄部は)薄くて軽いです。旧型のDM20がカタマリ感のある弁当箱だとすると、DM100は薄くて細長い長財布というか、最近なんか触ったものに似てるなあと思ったら香典を入れる袱紗ですね。

DM20を使っているあいだ、1.蓋を開けて、2.キーボードを展開する2アクションが面倒くさいなと思っていたので、DM100が通常のノートパソコンと同じくワンアクションで蓋を開けるだけの折りたたみ式を採用したのは嬉しかったですし、それだけに快適に打鍵できるだけのキーピッチを確保するためフットプリントが拡大するのは当然理解できるのですが、一方でその流れを知らずにDM100だけを見たら単に「でけー」と思うのも仕方がないなと思います。

しかしこのあまりにノーパソ然としたスタイルのせいで、まだDM100のある生活に慣れてないせいか、DM100を前にして『さあ、ネットで調べものしようか…あ、これじゃできないんだった』と思うことがしばしば。ひらたく言うと、紛らわしい。でもそれをライターの呉さんに伝えると「かえってネットで時間が潰れないからいい」という意見をいただきましたので、単機能ガジェットならではの善し悪しってのがあるんだと思います。

ともあれ蓋を開けたら電源も同時に入って即起動なシンプルさが非常に嬉しいDM100ですが、ひとつ残念なことがあります。それが蓋の開けにくさです。キー側より液晶側、つまり蓋側の面積が小さい上に、蓋側の角が丸められたデザインなので、指が引っかかりにくいんですよ。ここはクイック起動を標榜するデジタルメモだけに非常に惜しいところです。

ちょっと苦戦しながら蓋を開けると、5.5インチのバックライト付き青黒液晶画面があらわれます。暗いところでも原稿が打てるようになったので嬉しい半面、周囲が明るくさえあれば電子インクばりに視認性が高かった従来モデルのモノクロ液晶に比べると、目に優しい感じではありません。若干視野角が狭いのか、黒い部分がテカって見えます。この辺、20年前のワープロ機っぽいですね。兄貴の持っていたオアシスの液晶に近いような気がします。

VAIO typePやMacBookばりのチクレットというか、アイソレーションというか、とにかく独立したキートップは(ポメラに高級感が必要なのかどうかは別にして)見た目の高級感もあって、ややパタつきますが打ち心地はなかなか良好。本体下部のゴム足の高さに左右差があるせいで、キーボードがガタつくとの報告がネットで散見されますが、机の形状によっては確かにガタガタします。でもなぜか今(スタバのカウンター席)は安定。なぜだ?

今回はキー配列を親指シフト化できるのが売りのひとつで、そのせいで旧オアシスユーザーが狂喜乱舞しているわけですが、そこまでするならばもっとユーザーが多そうなMacの、日本語入力のキー配置も設定できるようにしてほしかったところです。いやはや、スペースキーの右側に「かな/カナ」、左側に「英字」の言語切り替えがそれぞれ独立して用意されてるのって便利ですよ。Windowsみたいにトグル式だと、いま日本語入力モードなのか英語入力モードなのか、画面表示を見ないとわかりませんからね。

その他、DM100にはテキストファイルのQRコード変換機能の他にBluetoothが搭載されて、パソコンやAndroidとペアリングすることで、ファイル転送ができるようになりました。それ専用に液晶画面の横に「Bluetooth」という専用ハードキーまで用意されています。しかし、いっそのことこのボタンを押すと、自動的に近くのスマホやタブレットに原稿を転送して、あらかじめ設定しておいたEvernoteやDropboxなどクラウドにアップしてくれる、テキスト版のEye-Fiみたいに進化したら最高なのになと思います。人によってはTwitter投稿やメール添付に設定したいかもしれませんね。

液晶画面の両側に6つあるハードキーですが、右側には「国語辞典」「英和辞典」「和英辞典」の3つの辞典が割り当てられています。このキーで辞書を呼び出してから、検索したい言葉を入力する普通の電子辞書的な使い方もできますが、あらかじめ執筆中のテキストの中の文字列を指定してから各ハードキーを押すと自動でその意味を検索してくれる機能もあるので、おそろしくライター業が捗ること請け合いです。

あと、気に入ったところで言うと、従来のmicroSDカードスロットではなく、安価かつ大量に流通していてパソコンとのデータやりとりがしやすいSDカードスロットが用意された点と、単3電池で30時間も駆動する寿命の長さ、パソコンで使っているATOKのユーザー辞書を読み込ませることができる拡張性ですかね。縦●文字×横●文字的なフレームが設定できるのも原稿書きには嬉しい機能です。

さらなる改善の要望としては、「蓋の開けやすさ」「Macキー配列対応」「テキスト版Eye-Fi」の他に「指紋がけっこう目立つのでホワイトボディの追加」「明朝体の表示」「50音入力にならないようロック機能」「液晶の180度展開」あたりでしょうか。

いずれにせよ、コンパニオンとしてスマホやタブレットさえあれば、ポメラDM100は、軽くて長時間駆動で、単機能ゆえに原稿に集中せざるを得ないという、現時点で超強力な原稿執筆マシンだと思いました。

と使ってみて3日ていどの感想です。また気づきがあったら続報をしたためますね。

関連リンク
ポメラ DM100|キングジム