画像1
金沢21世紀美術館を訪問3回目にして、ようやくレアンドロのプールを下から見ることができました。
今まで本当に間が悪いというか、下調べが足りないというか、金沢に来るたび展示の入れ替え中で、プールに潜ることができなかったのです。なので嬉しい。嬉しいけれど、もうちょっと人が少ない時期にゆっくり見たかった。
画像1
それはゴールデンウィークに来たぼくが悪いのです。

現在のメイン展示は、国内外のアーティストの作品を集めた企画展「内臓感覚」。なめらかさと硬質のコントラストが美しいルイーズ・ブルジョワの彫刻や、クサマトリックスにしてはモノクロな油彩群、スナップ写真のようでいて実はエフェクトがかかった志賀理江子の写真、フィギュアがやたらと下品で親子連れを混乱させるナタリー・ユールベリとハンス・ベリのクレイアニメ、まるで阿片窟のようなドロンとした空気感を醸造するピピロッティ・リストの360度ビデオ作品などなど、なかなか見ごたえある作品ばかりでした。

何より子どもの頃から、こうした一見わけのわからない不可解なアートにたくさん触れられる環境は、非常に羨ましい限りです。ぼくの子どもの頃のアート体験なんてゼロに等しいですからね。強いてあげれば、家にたくさんあった絵本くらいなものかもしれません。
画像1
美術館では子どもたちの反応も気になり、耳をそばだてていたのですが、しかし多少知恵のついた年長さんだと、大人同様に作品を理屈で消化しようとするんですよね。消化と言えば積極的に聞こえますが、要は「意味わかんない」と思考停止するのです。きっと展示の多くが、彼らがこれまでゲットしてきたアルゴリズムにのっとっていないのでしょう。良質なゲームで遊びすぎです。

その点、不条理なクソゲーで遊んできたファミコン世代は、アートへの理解が深いのではないでしょうか。なかでも有望なのは貧乏人ですね。1本のクソゲーを繰り返し遊ばざるを得なかった人たち。ぼくたち。