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本日は、いつもガジェットレビューを書かせてもらっている『Mac Fan』編集部のご厚意で、11月1日公開の映画『スティーブ・ジョブス』の試写会にお呼ばれしてきました。アップルの創業からApple Ⅱの成功、そしてMacintosh OSの開発、そして追放──さらにはCEOとしての復帰とiPod発表まで、ジョブスの栄光と挫折の人生を描いた伝記映画です。
映画は、iPod発表の基調講演から始まるのですが、アシュトン・カッチャー演じるジョブズの再現度とプレゼンテーションの見事さに、思わず「ぼくもスタンディングオベーションしなくちゃいけないんだっけ?」と勘違いするほどでした。きっと立ち上がって拍手しちゃった人が出てくるに違いない。

やがて時間はぼくの生まれ年でもある1974年にも巻き戻され、ヒッピー文化にどっぷり浸かったジョブズのスピリチュアルで無軌道な青春ストーリーから、まるで戦国時代絵巻のようなダイナミックな起業物語へと展開します。一見「これはいわば、団塊世代を慰撫して葬送する『プロジェクトX』的作品なのかな?」と思わせるのですが、やがてカメラはジョブズの最低な人間性や葛藤へにもフォーカスしてゆき、美談だけでは済まされない彼とアップルの、今日に至るまでの悲喜こもごもを学習することができます。

ぼくみたいなにわかマカーにとって、アップルとマッキントッシュの関係がよくわかるだけでも有用かも知れません。

劇中では(でも)最低の男として描かれるジョブズですが、その信念に基づく言葉の数々は、Macユーザーならずともきっと心を打つものばかり。この態度はきっと、優秀な物やサービスの裏に過剰な犠牲を求めがちな日本人にこそウケそうです。

そして、ありたいていな感想ですが、信念は貫き通さねば、より惨めな人生が待ち構えているのだなという想いを新たにしました。

ともあれiMac以降にファンになったユーザーにとっては、教科書ともなりえる映画『スティーブ・ジョブズ』。ギスりがちな雰囲気はウォズが和めてくれます。そして、別途ジョブズ映画『スティーブ・ジョブズ1995〜失われたインタビュー』っていう作品もあるんですね。こちらも観てみたいところです。

それにしても、大学時代にColor Classic、新社会人時代にiMacをそれぞれ手にするチャンスがありながら、どうして触れなかったのでしょうか。謎です。

関連リンク
スティーブ・ジョブズ
スティーブ・ジョブズ1995〜失われたインタビュー