しばらく更新がないかと思ったら、かねてより「イクイク」と宣言しておりました、北アルプスの大キレットに行ってたんですよ。上高地から岳沢〜前穂高岳〜奥穂高岳〜涸沢岳〜北穂高岳〜大キレット〜南岳〜中岳〜大喰岳〜槍ヶ岳という3000m級の八座を巡る4泊5日の山行でした。
良くも悪くも濃霧・霧雨で視界が悪かった大キレット。代わりに雷鳥ちゃん出現。
またガスりがちゆえブロッケン現象も多々発生しました。これは槍ヶ岳山頂。
トップ写真は涸沢岳から望む、北穂(右側)と槍ヶ岳(奥)です。ルートをざっくり説明しますと、切り立った稜線がありますよね? それを伝って一番奥にあるトンガリ山まで歩く感じです。この写真の位置からだと2日の道のりです。健脚の人なら1日で行っちゃうかもしれません。
また写真のミニくまちゃんは装着していませんが、穂高連峰および、大キレット、槍ヶ岳登頂──つまり今回のルートでは落石・崩落・滑落の危険性が高いのでヘルメットが必要です。この5日間だけでもトマトやスイカを地面に叩きつけたような血痕を何度か見ました。
あと、これは涸沢岳の山頂で話していたおっさん同士の会話を盗み聞きしただけなので、事実なのか噂なのかさだかではないのですが、ぼくが奥穂に登頂した日に、その隣のジャンダルムで滑落事故があったようです(実際にヘリコプターの音がしていました)。聞くところによると登山経験者の彼氏が、初心者の彼女をジャンダルムに連れてきたら、途中で道を間違えて彼女が100mほど転落してしまったとのこと。「しばらく動いてたって言うから、人間てなかなか死なないんだね」とまで話していたので、おそらく亡くなったのだと思われます。涸沢岳〜北穂高という難所に挑む直前だったので「彼氏はその後どうやって残りの人生を生きるのだろう」など余計な心配事を抱えつつ通過するハメになったのですが、その後ネットを検索してもそのような事故はヒットしなかったので、もしかしたらガセ、あるいは過去の話かもしれません。ただ、当日は実際グループ登山による滑落事故があったようです(→実際の顛末)。
というわけで、何が言いたいかというと、このブログでもゆるい感じで「大キレットに行って来たんだよー」なんてエントリしてるんですが、どんなベテランでもちょっと運が悪いだけであっさり死ねて、かつ周りの登山者やレスキュー等々にご迷惑をかける可能性が十分あります。なので北アルプス南部のような危険なルートでは「ある程度の経験を積む」「体力作りをする」「無理な計画はしない」「保険に入っておく」「安全にまつわる装備の取捨選択をする」「ヤバそうな時はあきらめる」「最悪死んだとしても、楽しいことをやってる最中に死んだんだから自己責任」という覚悟で臨んでいただきたいということです。
そんなわけで涸沢岳〜北穂のおばちゃんや、大キレットの外国人お姉ちゃんなど無謀なスニーカー登山者は──そりゃ、どんな格好で山歩きするのは個人の自由ですけど──何かあった際に居合わせた人を巻き込む可能性もあるので、もう入山できないような仕組みが作れないものかと思いました。でもきっとその管理コストは、真面目な登山者が支払うハメになるんでしょうね。
…とここまで考えたんですが、ひとたび事故が起きれば、初心者であれベテランであれ、世間からの「そもそもなぜ危険だとわかって山に登るの?」という、レーシック手術に例えると「なぜわざわざ健康な眼にメスを入れるの?」的なツッコミから免れないような気がするのでこの辺でやめておきます。
つまり家でネットサーフィンしてるのが一番安全!
しばらく穂槍縦走エントリが続きますよ。