文化の日をはさんだ3日間で「茨城県北芸術祭2016」(11月20日まで)に行ってきました。今年はあいちトリエンナーレも、瀬戸内国際芸術祭も、個人的に不完全燃焼で終わったので、このKENPOKU ART 2016には大期待。なお、会場は「海」と「山」と2つのエリアに分かれ茨城県北部の市町村に散らばっておりまして、土地勘がまったくないぼくはいったん一番手前のパスポートが買える会場「道の駅 ひたちおおた」から山エリアをせめてみました。
茨城県北芸術祭のロケーション。黄色が水戸市で、青が海エリア、緑が山エリア。
本日の行程。あわよくば1日で山エリアを回りきろうと思ったんですが、甘かった。
都内を9時に出て、途中ナビに騙されつつ道の駅に11時着。パスポートを購入。
まずは常陸太田市の鯨ヶ丘へ。街全体が原高史《Sense of Memory》のピンクで染まる。
ランドマーク梅津会館内では深澤孝史が考えた架空の《常陸佐竹市》市役所が。
建物の力もですが、お2階のニパン・オラニウェーが白粉で描いた地図に圧倒されました。
ゆるキャラ「じょうづるさん」にコンニチワ。
とにかく腹ぺこなのでサクメシ。釜揚げうどんを蕎麦と一緒に茹でちゃってる。ズコッ!
気を取り直してお隣のSPREAD《Life Stripe》。個人のある1日をカラーで可視化。
物々交換で作品が変容してゆく、北澤潤《リビングルーム鯨ヶ丘》。
しかしこの鯨ヶ丘は、作品よりも往時の繁栄をしのばせる町並みが見どころかもしれません。
ガラスに貼られたピンクのパネルには、その建物にまつわる人の言葉が記されています。
だいたいが「昔は人が多くてにぎやかでよかった」というお話。
個人的にはくたびれ具合が味わい深いんですが、商店街としては衰退の一途。
ひとつひとつパネルの文言を読み込むとメンタルやられるのでご注意を。
高台にある鯨ヶ丘は、まるでギアナ高地のように時代から隔絶された不思議な街でした。
高台を下ってパルティホールの國安孝昌《常陸のおお田守る竜神》。デカい、以上。
建物が奇抜でぶっ飛んでる、旧常陸太田市自然休養村管理センターにやってきました。
石田尚志の幻想的なインスタレーションで、ようやく芸術祭っぽくなってきた。
ただの苔玉をならべた駄展示かと思いきや…な三原聡一郎の作品。
突如、地元のおばちゃん集団が乱入して大騒ぎに。「なにこれ? わからないねー」。
ヴァイド・インフラの3Dプリンタで作った納豆菌モデルは、照明が美しい。
おば集団に追いつかれないよう、常陸大宮市へ移動。内海聖史の「moonwalk」展。
虎ノ門ヒルズの作品は好きでしたが…やや大味? そうこうしてるうち時間がない!
旧美和中学校へ急げー。
展覧会ポスターにもなった落合陽一君の《コロイドディスプレイ》。
シャボンの幕に超音波を当てて結像されたはかない姿。お隣の《モナドロジー》も必見。
個人的には津田翔平のレーザー職員室も中二病感があって大好き。
ぐだぐだと長い校長の話をダブミックスしたmagmaの作品も秀逸。ここは当たり会場かも。
最後に村上史明の「覗きもの」2種。教室がダイナミックなフライト空間に。
もういっちょ、屋上でだいだらぼっちを見た。この時点で16時につき、タイムアップ!
山エリアの半分もまわれておらず、道の駅 常陸大宮かわプラザで今後の作戦を練る。
展示によって開場時間が異なるため、事前に調べて順路を考えていくのがアートフェスの基本ですが、今回はあまり予習をせずに出かけてしまったので、1日目は山エリアの半分も消化できずに終わってしまいました。瀬戸芸は島単位・フェリー便単位で作品がちょうど見てまわれるよう設計されているんですが、KENPOKUはエリアが広い上に会場間が離れているうえ(この辺は大地の芸術祭に似ている)、日が短い秋開催ということも関係しているのか閉まるのも早く、まるで時間が足りませんでした。
もっとも──後でわかるんですが──海エリアに比べ山エリアは広く、そもそも1日でまわり切れない。なので、2日ていどで全エリアを見てまわろうとすると、どうしてもパスせざるを得ない作品が出てくるのです。
結果論ですが、この日だと「鯨ヶ丘の町並み」と「旧美和中学校」だけで良かったかもしれない…というのが率直な感想。
2日目は山エリアの続きからまわらねば…と常陸大宮や奥久慈で宿を探してみたんですが、ネットだとあまりヒットしない上に料金も決して安くなかったため、結局日立市までクルマを走らせてビジネスホテルに2連泊することにしました。これも後からわかったことですが、日立市を拠点にしておけば、宿の選択肢が多いし、両エリアにもアクセスしやすいんですね。
というわけで、1日目はこれにて終了。日立市にステイしたことで明日は予定を変え、海エリアを1日でまわってしまいます。
つづく。
関連リンク
・KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭