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ぼくも世の老害のご多分にもれず、日本語の乱れが気になるお年頃になってきました。とりわけ気にさわるのがブログやネットメディアのテキストで──誤字脱字はしかたがないとしても──おかしな文章表現、いわゆる誤用が本当に多いです。ぼくの日本語も褒めれたものではないのですが、本日は針のむしろになることを覚悟して、ネットで多用されがちな誤用を紹介させていただきます。

実は…


察しの良い方ならすでにお気づきかもしれませんが、冒頭の文章にぼくの苦手な日本語表現がちりばめられています。すなわち──

・〜となります/〜となっています
・形容詞+です
・ら抜き言葉
・〜させていただく


などなど。例として挙げた「お年頃となってきました」は誤用と言い切れないというか、この流れならぼくもこう書かざるを得ないのですが、気になるのは「こちらがコーヒーの方になります」「液晶画面は5.7インチとなっています」といったケースです。説明は面倒なので以下をご覧くだせい。

「~になります」? | ことば(放送用語) - 最近気になる放送用語 | NHK放送文化研究所

で、最近もっとも気になるのが2番目の「形容詞+です」で終わる文章。

「〜寒いです」「〜多いです」「〜すごいです」などなど、厳密にいうと現在では有効とされている表現ですが、もともとの日本語文法としては間違った表現です。

「もともとって何や?」「言葉は世につれ人につれ変化してゆくものでは?」というツッコミもございましょう。しかし使いまくると小学生の作文みたくバカっぽい印象になるのです。しかも「ですます調」で書いときゃ丁寧だろうと思い込んでいる方は、「です」で終わる文章を無自覚に連続させる傾向があります。

「楽しいです」 | ことば(放送用語) - 最近気になる放送用語 | NHK放送文化研究所

せめて「寒いですね」「多いところです」「すごいんです!」などと口語調にすれば違和感なく読めますし、なるべく「です」で終わる文章と「体言止め」の文章を交互に配置していくと、文章全体のテンポがよくなるかと存じます。

「ら抜き言葉」は割愛。もはや音便化しているとも言えますね。

最後の「させていただきます」は、文章に限らず話し言葉でもマジ多く、自分も咄嗟に謙譲語が思いつかない場合はうっかり使いがちなだけに非常に厄介。例のごとくNHKが綺麗にまとめていらっしゃるので、以下のリンクをご案内させていただきます…という他ないのですが、この症候群は世の中の「へりくだりすぎ」、ひいてはみんなが「上から目線に敏感になっている」のが大きな要因なんじゃないかとにらんでいます。

視点・論点 「させていただきます症候群」 | 視点・論点 | NHK 解説委員室 | 解説アーカイブス

ライターなら辞書アプリくらい買え


nds-book
この長すぎる前置きは、前回エントリした「ライター7つ道具(スターターキット)」の続きとして、「ライターやブロガーなら正しい日本語を書くべく、パソコンやスマホに有料辞書アプリのひとつやふたつインスコしておきましょう」との主張を述べたいがため。

おりしも小学館の『精選版 日本国語大事典』(iOS)が、リリース記念で通常価格7800円のところ、期間限定1月31日まで4800円の破格で購入できるチャンスですからね。つくづく他力本願ですが、このアプリの凄さは下記のニュース記事で思い知ってください。

「即買い以外にないですよ」日本最大の国語辞典がiOSアプリに。おすすめの使い方を聞いてみた|BuzFeed

紙で買うと4万8600円! しかも全3巻なのでまず持ち歩けない。

過去には『大辞林』(2600円)や『デジタル大辞泉』(いつの間にかメーカーごとアプリが変わっていた。2000円)なども購入しているのですが、今後はこの『日国』をメインに使おうと思います。

他には、最低限の英語辞書として『ウィズダム英和・和英辞典2』(1も買った。2900円)ていどは必要でしょう。

あと、語彙力およびボキャブラリー(同じことだ)が貧困な駆け出しライターにオススメなのが、類語辞典の『日本語大シソーラス』(4800円)!…と思って検索したらもう開発がストップしているんですね。いま同ジャンルで販売しているのは『角川類語辞典』(1600円)くらい。以前、ATOKの拡張辞典で角川を使った際は収録語彙が物足りなかった印象があるのですが、アプリ版はどうなんでしょうか。物書堂が作っているので『大辞林』『日国』『ウィズダム』と連携するのはよさげですが。

類義辞典はマストバイ


なお、シソーラスというのは、ある言葉の別の表現や、関連する言葉など、言葉探しに徹した辞典です。例えば「話す」で検索してみると「語る」「談ずる」「声をかける」「言葉をかける」「言い寄る」「説く」「口を利く」「舌を動かす」「一席ぶつ」などなど、他にもさまざまな表現があることがわかります。なんか同じ言葉を使いすぎて冗長だなー、他に的確な表現はなかったっけ?という時に使えるので、人によっては国語辞典より使いでがあるかもしれません。

『日国』『ウィズダム』『角川類語』全部買っても1万円以下。しかもiPhoneに入れて持ち歩くことができます。本来、辞書はパソコン側(の日本語入力ソフト)に入っている方が原稿執筆もはかどりそうなものですが、iOSアプリの方が安くてラインナップも充実しているので、学生時代のカシオの電子辞書よろしくノートパソコンの隣で引く、という使い方がコストバランスに優れているかもしれません。ただまあ、iPhoneを起ち上げた瞬間、他の通知に集中力を殺がれる恐れもありますが。

かように、明らかブーメランとして返っておのれにぶっ刺さりそうなことを書きつらねてみました。ベテランブックライターが話すと説得力もまた増しましょう。でもね、大事なのは誰が言っているかではなく、何を言っているか、ですからね! 無益なへっぽこライターいじめなんかより、おのれの文章力向上のための投資を怠らないようにしたいものです。

ちなみに、煽りや脅しが入ったタイトルとかキャッチも好きじゃないんだよなあ(それは好みのもんだい)。

【おまけ】
ぼくも世の老害のご多分にもれず、日本語の乱れが気になるお年頃になってきました。とりわけ気にさわるのがブログやネットメディアのテキスト。誤字脱字はしかたがないとしても、おかしな文章表現、いわゆる誤用が本当に多いのです。自分の日本語も決して褒められたものではありませんが、本日は針のむしろになることを覚悟して、ネットで多用されがちな誤用をご紹介いたします。

関連リンク
物書堂
精選版 日本国語大辞典|App Store
ウィズダム英和・和英辞典 2|App Store
角川類語新辞典|App Store