
10月初旬、石川県は能登半島のどん詰まり・珠洲市で開催されている「奥能登国際芸術祭2017(SUZU 2017)」に行ってきました。なんせ東京・新宿から能登半島最北端・禄剛埼灯台まで615km(所要時間8時間)もありますからね。通常は空路で行くところですが、予算がないので前後に「#糸魚川たのしー」を挟みつつ、バイク&野宿でやっつけてきました。写真は、寒気に震えながら2日がかりで珠洲入りした瞬間。12年ぶりに見附島(軍艦島)にコンニチワ。
北アルプスと富山湾を大きく迂回するのでえらく遠いんですわ。

見附島近辺の見どころは石川直樹《混浴宇宙宝湯》でしょう。

明治時代にできた銭湯+遊郭という魔建築を舞台にした迷路型インスタレーション。

銭湯は現在、復活して営業しています。時間があえば入りたかった。

さすがに遊郭はやってません。海運時代、珠洲は船乗りでたいへん賑わったようです。

語弊がありますが、作品より場のチカラがすごい展示でした。

もうひとつ良かったのがアデル・アブデスメッド《ま-も-なく》。

廃線となった無人駅に来るはずもない鉄道の到着を知らせる警報が鳴り響く。

放置された鉄道にはネオン管がぶっ刺さってます。

夜もなかなか見ごたえがあります。ポストアポカリプスの世界。

廃駅作品ではラックスメディアコレクティブ《うつしみ》も夜光る。駅の幽体離脱。

各種芸術祭でもおなじみ眞壁陸二は高照寺の倒さ杉(さかさすぎ)をモチーフにした作品。

ようやく市中心部に入りました。EAT&ART TARO《さいはての「キャバレー準備中」》。

廃墟かと思いきや、この日はカフェ営業していました。

楽屋ではお好きな衣裳で記念撮影可。女子ウケしそうな作品でした。

おなかがポコちゃんにつきショッピングセンターのイートインで充填。カレーがけ親子丼。

旧スメル館《シアターシュメール》南条嘉毅。幻灯機と看板、砂でつむぐ昭和のイマージュ。

閉館時のポスターが懐かしい。昔は珠洲だけで映画館が3軒もあったそう。

珠洲の人たちの思い出を刺繍でつづる《物語るテーブルランナー・珠洲編》鴻池朋子。

亡くなったもの、失ったものへのエピソードがやけに多くて悲しい気持ちにひたれます。

スナックの空きテナントを舞台にした《JUEN 光陰》吉野央子。

漁師とホステスの物語より、海の生き物が限界集落に襲来してきた感じ。

圧巻はスズプロ《静かな海流をめぐって》内の《奥能登曼荼羅》。ずっと見飽きない。

さまざまな生活用品がうず高く積み上げられた《いえの木》も。妖怪みたいでもある。

1日目のラストは旧飯田駅《小さい忘れもの美術館》河口龍夫。

ちっちゃなくっくがかわいい。

かつてのホームには草ぼうぼう。やがて日本全土も緑で覆われるんでしょうね。
この日は、朝からどんより曇り空でいつ雨が降ってもおかしくはなかったんですが、作品の公開が終わる17時にようやく小雨がパラつきはじめたていどで、なんとかお天気がもちました。もっとも、そのあとの移動で降られちゃうわけですが、それでも(野宿旅と言いながら)安宿を取っておいてよかった。
以上が1日目です。特にオススメは、駅シリーズ、映画館、宝湯、曼荼羅でしょうか。この後2日目、3日目と続くわけですが、長くなりそうなのでいったんこの辺で。
つづく。
関連リンク
・奥能登国際芸術祭